ここ数年の、
<ついつい邦画・気が付けば邦画・ふりむけば邦画> には理由がある。
確かに字幕を読まなくていいという、「私の目事情」的なラクさもあるが、
核になっているのは、わかり易さ。
安直なんかも知れんが、背景とか心情とかのわかり易さだ。
映画にもう擬似的広がりを求めてないのかもなあ。
そこには自分が日本人であるということをベースとして、自分の人生がある。
私のそれは、
ハリウッドサイズでも、ヨーロッパサイズでも、中国サイズでも、
インドサイズでもない。
ミニシアター邦画のサイズ。
一番その器サイズが似かよった身近なもんを見て、
具象理解する、振れ幅共感する、国民性感じる、擬似体感する、我流納得する。
そうして、それら珠玉の感触を手のひらにのせ、見入り・感じ・味わうのに、
<生きてきた歳月・経験>は大きな武器だと思う。
イヤイヤ、戦うわけじゃあないから...武器じゃなくて...そう、手持ちの<色見本>
オリジナルな<色見本>、使わないと勿体無い。
■ デイア・ドクター
うん、とても楽しめました。
西川美和監督の映画は、オダギリさんと香川さんの『ゆれる』が初めてでした。
『ゆれる』、面白かったなあ。
人はずるくて弱くて優しいんよねえ。
西川監督作品を見ると、
是枝監督作品(『誰も知らない』『花よりもなほ』『歩いても 歩いても』...etc.)を
連想。
ん?どっか似てる?いや、違うなあ。いや、似てる?なんだ?あっ、空気かも。
と、思ったら、師だそうで、是枝監督は西川監督の。
2009年6月19日 読売新聞のインタビューでの西川監督の言葉から。
『志を一貫させる人って少ないですよね。
それより、偶然が重なって、思ってもみなかったところに転がっていって、
行き着いた果てが結構面白かったりする』
面白いデキになっているかどうか疑わしいけど、
<偶然>が重なって<転がり>倒して、行き着いて、
私は・今は、『ここ』にいる。
* * * * *
見終わった時、ラストシーンの時、
「ああ、これ、ラブストーリーだ」と、私、思った。
でも、全体をラブストーリーとして展開させている訳じゃあない。
なんだろ…
映画全体を通して充満している、主人公の<“据わり”の悪さ>の中、
ラブストーリーを思わせる一瞬があった。
それがとても自分の中で<据わり>が良かったからかも知れない。
でもパンフの中で、そういう風なコトを書いてるところが無くて...
「ん?」だっだんだけど、八千草薫さんのコメントの中に発見!
そっか、演じているご本人がその<要素>を指摘されていたんですよね。
で、「ほらね!」の気分になった。
<据わり>
なんとも<据わり>の悪い人生を送っている主人公です。
据わっている風に見えて、実に危うい毎日。
彼の危うさは、外から見えない。明るい間は見えない。
けど、暗くなったら・夜になったら見える、そんな感じ。
ニセモノなのに本物してて・本物してるけど実はニセモノで。
ウソなのに現実で、現実がウソで。
でも、ひっくるめて全部現実で真実で...そういう映画です。
スートーリー展開の中に、その前面に、シリアスさは出ていません。
例えば、リアルな僻村での医師不在問題とか。
でも起こっているコトは、実にリアリティがある。
リアリティは何かの中にドンとあるものやのうて、流れが作るかもしれんです。
<照合>
どうなんだろうと、思う。みんなはどうなんだろうと、思う。
ずっと思って、ずっと感じてきた気がする。
今の御自分の人生、居心地、据わりの加減はどうですか?...みたいな。
それぞれ自分の役割がある。
娘だったり、息子だったり、親だったり、妻だったり、夫だったり、隣人だったり、友人だったり、
勤め人だったり、嫁だったり...もっともっと配役はいっぱい。
そこいらへんでの<自分の据わり>加減。
ん?自分(の据わり)=肝(の据わり)で、その先に「存在」なのかな?
皮肉なのか、必要だったのか、そこいらへんは不明なれど、
私、病気を持って、実は<据わり>が良くなった。
地面との距離が近くなった気がしてならない。
しかし、こういう論理にもってく自分はニセモノ?本物?
ずっと、<据わりの悪さ>感じてて、原因を考えたりもした。
あの出来事から?...いや、その以前から。
あの喪失感から?...いや、その以前から。
とまあ、長年延々、自分が浮遊してた感あったけど、
とまあ、この歳になっても未熟な感、ありありだけど、
不思議なもんで、この決め付け縛りで、着地に向かってる?みたいな。
...あ~あ。ワケわからんようになってきた。 お腹、空き過ぎで。
そうそう、余貴美子さんがいいなあ。いつ見ても彼女はいいなあと思う。
どうして私は余貴美子さんになれんかったんやろ(笑)
そう、それは、
余貴美子さん方向への<偶然>が重ならず、上手く<転がらず>、
思わぬ地点に行き着いてしまい、私は今、『ここ』にいる。
【今日の作品】【ディア・ドクター】
【今日の部員】昨日:モディ★今日:脳腫瘍 ★明日:リリー
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