その文庫本のカバーに深津絵里さんの写真。
それだけでふら~っと買った本。(へぇ~ 映画化かあ。)
この小説は朝日新聞に連載されていたそうだ。
(えっ、新聞に? 週刊朝日じゃなくて?)と思った。
なんか…描写がね、朝に配達される新聞向きじゃあない気がして(笑)
でもま、『失楽園』も日本経済新聞朝刊の連載だったし。
映画化に当たっては、PG-12みたいです。
小説の方は、PG-15?18?のような。
文庫本のカバーに写真が載っていたのは、映画にキャスティングされた
妻夫木くん、深っちゃん、樹木希林さん、柄本明さん。
ストーリーを始め全く予備知識ゼロゆえ、読み進みながらその4人を探した。
妻夫木くんはすぐに出てきたが、深っちゃんがなかなか出てこない。
(この女性かな?...いや違う、違うな)を数回。
樹木希林さんの役どころはさすがにすぐ分かった。
柄本さんはどの登場人物かなあ...
この女性の父親かあ...違うかあ...を、最後まで。
小説のタイトル、著者が吉田修一氏、
新聞連載、大きな賞をもらっている作品、映画化される...
何も知らないって、深っちゃんの写真だけで、って、
そ、御縁!結果、良縁!
映画サイトに紹介されていた、ある登場人物の台詞がとてもいい。
「あんた、大切な人はおるね?
その人の幸せな様子を思うだけで、自分までうれしくなってくるような人は。
今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎる。
自分には失うものがないち思い込んで、それで強くなった気になっとう。
だけんやろ、自分が余裕のある人間て思いくさって、
失ったり、欲しがったりする人間を、馬鹿にした目で眺めとう。
そうじゃないとよ。それじゃ人間は駄目とよ。」
この小説は、<悪>じゃあなくて、<悪人>を 描いてるなと。
私には推理小説でもなかった。
私には恋愛小説でも無かった。
群像小説、人間小説って感じだった。
<悪>について描いているなら、
私には鋳型のある抽象になってしまうけど、
<悪人>について描いているから、私には人間小説。
面白かったです。
どんどん読み進めました。
上下2巻の長編、たくさんの登場人物が出てきますが
一回もこんがらがること無かった。
いくつものシーンを描きながらも不思議な距離。
実際はとても近いのだけど。関係が。
そう、時系列と言うより人間列。
それら幾つかの列のど真ん中で描写されているのは、
みな生々しい人間が居るシーン。
だから、何と言うか、恐ろしいほど体温があると言うか...
うん、いや、『ほど』は要らんね。まんま 恐ろしい体温。
登場人物の皆にそれなりの<悪>があって、
それはその人物が生きてるのに、
ごく当たり前のように付随してる<悪>で、
んもう、皮膚感覚の<悪>だから、
極自然に、軽量に、時には軽薄に、<悪人>が誕生する。
その自然さが、その軽量さが、<悪>なんかもなあと。
さあ、次は映画『悪人』。
妻夫木くん、深っちゃん、
ネイティブ方言を話す『清水祐一』、
ちゃんと<悪人>になってる『馬込光代』。
今になって思った。
『清水祐一』が持っている<悪>が一番筋が通ってるんかもしれんです。
イヤ、<悪>に筋というのもオカシイか。
【今日の作品】【悪人】
【今日の部員】昨日:モディ★今日:脳腫瘍 ★明日:リリー
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