2011/09/16

【永遠の仔】

中谷美紀さんの演技をしっかり見たのは、
2000年のドラマ『永遠の仔』。

調べたら、平均視聴率が11.8%だったらしいから、
お茶の間の皆さんに もれなくウケたんじゃあなかったんだ。

暗かったからね。
それに様々な幼児虐待・殺人・トラウマがベースだし。


自分が生きてることのリアリティが欠損してしまった人たちの話。


中谷美紀さんと、渡部篤郎さんと、椎名桔平さん、
石田ゆり子さんがメインキャストだった。

どの方も、凄みを感じさせてくれるほどの危うさが見事で、
見入っていた。   

中谷さんの演じる、神経質っぽさとか、頑なさとか、
憂いとか、孤高の感じとか、孤独感とか、危なさとか、
張り詰めた感じとか、絶望とか、凄かったと思う。


私、こういうのに、すぽっとハマる。

虐待を受けて育った訳じゃないのに、
のほほんと育ったのに、みごとにハマる。

当事者から遠いから対峙できるのかもしれないし、
なにか自分で気づかぬファクターをもてるのかも知れない。


当時ドラマに夢中になっていたら、
二男が学校の図書館から天童荒太さんの原作を借りてきてくれた。

一気に読み、結局、
手元に置いときたくて後日購入したのだけけれど、
この本&ドラマから、天童荒太さんのスペースが、
私の中で出来上がった。

天童さんは、あまり、次から次へと書く方ではない。
だからほとんど読んだ。

手持ちは、『孤独の歌声(1994)』、『永遠の仔(1999)』、
あふれた愛(2000)』、『家族狩り:文庫本全5巻(2000)』、
そして坂本 龍一さんとの共書、
少年とアフリカ 音楽と物語、いのちと暴力をめぐる対話』、
包帯クラブ(2006)』、『悼む人(2008)』、『静人日記(2009)』、
あふれた愛』は、長男にも送った。

「切なくてやれんかった。泣いてしもうた」という感想を寄こしてきた。


天童さんの本を読んでる時、私はいつも何かを掴めそうで掴めない。
それは低い雲となって、高度を下げて来るのに、届かない。
熟考できないアタマだから、掴むのはムリみたい。
「うーっ」とか、「ふーっ」とか、「あぁーっ」とかのレベルで終わる。

言葉にする端からウソ色になるものってある。
そんな感じかな。

感覚を書き表すと、どこか端っこが外れるか、脚色が入る。 
まっ、この読解力と語彙と表現力のせいでしょうが。 


天童さんの幾つかの本の装丁に、
彫刻家の舟越桂さんの作品が使われている。
とってもいい。とっても好き。

情熱大陸等のTV番組やドキュメンタリーもいくつか見た。
その工程が<作品>って感じがした。

クスノキを使った木彫。目は大理石。
目を作ってはめ込む時、
その過程は手術室の出来事のよう。

計算されつくした作業のようにも見えたし、
ゼロから何かを創り出す技のようにも見えた。

目をね、確か三白眼?か、斜視気味?にすると、
「もの言う」表情が出るみたいなこと言ってた。
遠くを見てる目だ。


暖かさと淋しさとが混在してて、
それが質感となって不思議な表情。

ずっと見つめていたくなる。


私は、絵も、彫刻も人物が好き。
本も映画も、ヒト臭いのが好き。



■へえ、舟越桂/画 、天童荒太/文 で、
あなたが想う本(2000年)』って言うのが出てるんだ。
47点の版画と7つの物語。



【今日の作品】【永遠の仔】
【今日の部員】昨日:モディ★今日:脳腫瘍 ★明日:リリー

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